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HPケーブルとはHeat Proofの略で、熱に強いケーブルのことです。
一般的に周囲温度が高い場所で使われ、防災設備の配線にもよく用いられています。
ただし、防災設備にはより高温環境に強いFPケーブルがあり、重要度の高い設備にはFPケーブルが採用される点には注意が必要です。
この記事ではHPケーブルの特性や使用場所、ほかのケーブルとの違いなど多岐にわたり解説します。
記事を読み進めることでHPケーブルの理解が深まり、設計ミスを防ぐことができます。
HPケーブルとは耐熱電線のことで、耐火電線(FP)と普通の電線の中間にあたる電線です。
主に火災発生時、建物にいる人に火事を知らせたり、避難を促したりするための設備に使われます。
HPは「Heat Proof(耐熱)」の頭文字を取った呼称で、耐熱性能を持つビニル絶縁電線のことです。
消防庁告示第11号に基づく耐熱電線の要件を満たした認定品で、住宅・ビル・工場など幅広い建物で使われます。
型番は「HP」のほか、エコマテリアル対応の「EM-HP」も普及しています。
HPケーブルは、周囲温度の高い場所や防災設備で用いられる耐熱電線です。
耐火電線(FP)が「火災時の非常電源用」なのに対し、耐熱電線(HP)は「警報・感知・誘導など、火災時に動作する信号系」を担当しています。
「FP=動力・電源向け」「HP=信号・警報向け」と覚えると判断しやすいです。
HPケーブルは、導体、絶縁体、ビニルシースの3つで成り立っており、加熱開始から15分間で380℃に達する加熱試験において、信号伝送し続けられることが求められています。
詳しい構造や性能については以下に解説します。
HPケーブルは、内側から「導体→架橋ポリエチレン絶縁体→ビニルシース」の3つで成り立っています。
架橋ポリエチレン(XLPE)を絶縁体に採用することで、通常のビニル絶縁電線より高い耐熱性能を実現。
エコマテリアル対応のEM-HPでは、シースおよび絶縁体にハロゲンフリー素材が使われ、燃焼時の有毒ガス発生が抑えられます。
HPケーブルは380℃・15分の加熱試験に合格することが基本要件で、消防庁告示第11号に基づく認定品として供給されています。
この性能(380℃・15分)は、避難・初期消火活動が行われる時間帯において、感知器・警報・誘導灯などの信号を確実に伝えるためのものです。
FPの840℃・30分と比較すると、HPは「比較的短時間の耐熱性能」になります。
HPケーブルは芯線ごとに異なる色の絶縁体が使われており、誤配線防止の役割を果たします。
メーカーごとに色順序が決まっているため、改修工事の際は既設配線の色対応を必ず確認してから施工しましょう。
一般的に対より線の場合は、次のように青、黄、緑、赤、紫の5色が使われることが多いです。
【HPケーブル10芯の場合の配色例】
1番:青/白2番:黄/白3番:緑/白4番:赤/白5番:紫/白
HPケーブルは火災発生時の初期消火や避難誘導で必要な設備配線に使われることが多いです。
以下に、具体的な用途や使用場所について解説します。
R型・P型の自動火災報知設備の感知器回路には、消防法で耐熱配線(HP)が義務づけられている部位があります。
HPケーブルは感知器(発信機)〜受信機の間で、火災時の信号伝達を確実にする役割を担います。
非常放送設備のスピーカー回路にも、耐熱性能を確保するためHPケーブルが使われます。
火災発生時に避難誘導アナウンスを継続するために必要不可欠な配線で、商業施設・ホテル・地下街などで広く採用されています。
誘導灯の配線、消防設備の制御回路、防排煙設備の制御線など、火災時に動作を維持する必要がある信号系統にもHPケーブルは使用されます。
ケーブルラック・電線管・露出配線など、施工形態にも柔軟に対応できます。
HPケーブルのビニルシースは、屋外の直射日光・油・薬品への耐性が低いため、原則として屋内専用です。
やむを得ず屋外配線で使う場合は、金属管などの保護管に収納し、紫外線や雨水から守る必要があります。
屋外区間の長い系統では、屋外用ケーブルへの切替も検討しましょう。
HPケーブルとAEケーブルの違いは「防災用か一般用か」です。
HPケーブルは耐熱電線として380℃・15分耐えうる性能を持っていますが、AEケーブルにはそのような明確な規定はありません。
AEケーブルは、警報・信号用途向けに設計されたポリエチレン絶縁ビニルシースケーブルです。
柔軟で取り回しがよく、コスト面でも有利ですが、HPのような耐熱性能は持っていません。
対より構造を持ち、ノイズ耐性にも一定の配慮がされています。
HPは消防法上の耐熱配線として認められますが、AEは耐熱配線としては使用できません。
AEは一般の弱電信号回路(インターホン・警備機器・センサー配線など)、HPは防災設備の耐熱配線、と用途を明確に分ける必要があります。
誤ってAEを耐熱配線部位に使用すると、消防検査で不適合となります。
どちらも屋内配線が基本ですが、AEは耐熱配線部位には使用不可です。
HPケーブルには単線とより線の両方が存在します。
単線は素線をより合わせる必要がないため、機器への接続や端末処理がしやすいメリットがあります。
その反面、硬めで盤内などの窮屈な場所の配線にはより線が使われます。
状況に応じて適切なHPケーブルを採用しましょう。
※外径は目安です。詳しくは各メーカーの仕様を参照してください。
HPケーブルの代表的な導体断面積は0.9sq・1.25sq・2.0sqなどで、芯数も2芯・3芯・複数芯が用意されています。
感知器の小信号回路には0.9sq、非常放送のスピーカー回路には1.25〜2.0sqといった具合に、用途に応じて選定するのが一般的です。
HPケーブルは主に信号・制御系で使われるため、許容電流よりも電圧降下・配線距離の影響が問題になるケースが多くなります。
メーカーカタログの許容電流表と、内線規程に基づく電圧降下計算を参考に選定しましょう。
非常放送のスピーカー回路では、ライン電圧(70V/100Vライン)や負荷ワット数も考慮が必要です。
HPケーブル選定は次の流れで決めるのが普通です。
電圧降下は以下の式から求めることができます。
e = 2 ρ L I ÷ A
e:電圧降下(V)ρ:導体抵抗率L:配線長(m)I:電流(A)A:導体断面積(mm² )
2という数字は往路と復路があるため。銅線ならρは約0.0178(Ω・mm²/m)になります。
上記を変形すると以下の式になります。
e = 35.6 L I ÷ 1000A
ここに実際に使うケーブルの断面積や長さ、接続する負荷の合計電流を代入すると何Vの電圧降下が発生するのか計算できます。
一般的には電圧降下率4%以内に収めます。(100V回路なら電圧降下は4V以下にする)
HPケーブルは、2C、3C、5P、10Pなど、多芯・多対タイプがあります。
重要なのは、いま必要な線数だけで決めないことです。
上記のように、消防設備によって必要になる芯数は変わりますが、R型では通信・電源・制御を兼ねるため芯数が増えることもあります。
将来用の配管や配線を引き回すことは、電気工事の分野では常識的に行われています。
消防設備はレイアウト変更やテナント改修などで、後から感知器の追加や防火区画変更が発生することがあります。
そのたびに新規配線していると非常に手間ですから、現場では「最低でも1Pは余らせたい」という感覚があります。
HPケーブルは絶縁材質によって施工性がかなり変わります。
従来のHPケーブル(PVC)は有毒ガスが発生しますが、柔らかく加工しやすいメリットがあります。
EM系は近年の主流ですが、製品によっては硬く剥ぎにくいデメリットがあり、特に冬場は硬化しやすいです。
消防設備は長期保全が前提なので、「将来触る人が作業しやすいか」まで考えるとかなりよい設計になります。
HPケーブルは、防災設備の耐熱配線として必須の電線です。
これらのポイントを押さえれば、防災設備の設計・改修でミスをすることはありません。
当サイトでは、HPケーブルやノンハロゲン仕様のEM-HP、関連するFPケーブル・AEケーブルまで幅広く取りそろえています。
サイズ・芯数の検索に対応しており、m単位の切り売りもしています。
防災設備工事に必要な電線を、ぜひ当店のラインナップからお選びください。
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