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IV線は「600Vビニル絶縁電線」と呼ばれ、電気工事では一般的な電線です。
安価で加工しやすく、配線器具・照明器具・ブレーカーなど、多くの電気機器はこの電線に合わせて設計されています。
この記事では、そんなIV線の特徴やほかの電線・ケーブルとの違い、使用例などを解説します。
許容電流の一覧も紹介しますので、IV線の選定にも活用してください。
IV線は正式(JIS C 3307)には「600Vビニル絶縁電線」と呼ばれています。
実務では「IV」と呼ばれていますが、略語の明確な定義はありません。「Insulated Vinyl」「Indoor Vinyl」「Indoor PVC」などさまざまな呼ばれ方をしています。
電気工事では一般的な電線で、配線機器の接続・盤内のブレーカーや端子台への配線・アース線など、用途は多岐にわたります。
主な特徴はシース(外装)がないことで、IVは”ケーブル”ではなく”線”または”電線”と呼ばれています。
実務的なイメージは「部品」で、電線管や盤内で保護することが前提となっています。
IV線は導体とビニル絶縁体の構成になっています。
導体は単線とより線の2タイプあり、単線は1.2〜2.0mm、より線は1.25〜325mm²まであります。
単線とより線に分かれているのは次のような理由からです。
より線(断面積)の単位はmm²(平方ミリメートル)やSQ(スクエア)が使われ、2mm²なら「にスケ」と呼ばれることが多いです。
IV線は具体的に次のような場面で広く利用されています。
外径が細く取り回しやすいことから、アース線や機器間の接続(ワタリ配線)、配電盤内の狭い配線によく使われます。
IV線は「短距離の配線が多い」「配線器具のワタリ線はVVFの切れ端から取り出す」などの理由から、宅内の配線工事ではVVFほど利用はされません。
被覆が緑(緑/黄)のIV線(アース用)は使用機会が多いですが、被覆が黒・赤・白などのIV線は余ることが多いです。
逆に工場・プラントや商業施設、制御盤などの工事では、人の手が触れない場所が多いためIV線の使用機会は増えます。
IV線はシースがないため、使ってはいけない場面が明確です。
ここではIV線を使ってはいけない場面について解説します。
IV線はシース(外皮)がないため露出配線は基本NGです。
軽い衝撃や摩擦でも被覆が破れてしまうことがあるため、PF管やCD管で必ず保護しなければいけません。
電線管や盤内がOKなのに、壁や天井の露出配線(コロガシ配線)がNGなのは、管や盤がシースの役割を果たすため。
IV線保護の本質は「人の手」ではなく「環境から守られているか」で考えることです。
ただし、がいし引きのように「人が容易に触れない場所」で「壁や天井に直接触れない」場所であればOKとなるケースもあります。
IV線は次のような理由から屋外配線に向いていません。
IV線の絶縁体(PVC)は耐候性が低いため、長期間屋外に放置していると、劣化が早まります。
たまに、仮設工事の配線で数センチ〜数十センチ露出している場面も見かけますが、以下のような事情から許容されるケースもあります。
屋外配線の判断ポイントは「露出しているか」ではなく「危険性が管理されているか」です。
IV線はより線タイプもありますが、可動用のケーブルとは設計思想が違います。
IVのより線は「日常的な曲げ」ではなく「施工時の曲げやすさ」が目的です。
IV線を選定するときは、次の順番で決めるのが基本です。
まずは何と接続するのかを確認し、流れる電流を決めます。
旅行と同じで、目的、予算、期限が決まっていないと、何も決めることはできません。
電線メーカーや許容電流表(後述)を見て、大体の許容電流を仮決めします。
ポイントは実際に流れる電流よりも余裕を持ったサイズを選ぶこと。
許容電流は一般的に理想条件(30℃・1条・気中・日射無し)で算出されているため、計算を進めるうちに徐々に厳しくなっていきます。
また、IV線には単線とより線があり、「2mm=2mm² ではない」点に注意です。
つまり面積は (導体直径)²×0.785 となり、
2mmなら3.14mm²(3.14mm²はないので、3.5mm²に換算する)1mmなら0.785mm²(0.785mm²はないので、0.75mm²に換算する)
上記のように考えます。
許容電流が決まったら、その値に補正係数をかけます。
例えば、40℃の環境なら0.82倍、電線管に3本まとめて配線するなら0.7倍にするなど。
放熱効率が悪い環境ほど、許容電流は低くなります。
電線は距離が長くなると電圧降下が発生します。
電圧降下の目安は、照明で2%以内、動力で3〜5%以内に収めること。
例えば、100Vが必要な機器で90Vになっていると、パワーが弱く感じたり、動かなかったりするおそれがあります。
※ブレーカー(電源)〜負荷(機器)まで往復の距離
上記が一般的な実用目安です。
実際にIV線がどんな環境で配線されるかを考えます。
電気的にはOKでも、機械的な条件が合っていないと、劣化を早めたり断線につながったりします。
実際の現場では、更に安全側に寄せた設計をします。
電気工事の現場では、将来に備えて予備の回路を用意したり、増設用の配線スペースを用意したりするのはよくあることです。
そのため、回路が増えても対応できるように電線を1サイズ上げるなど、電気的にも余裕を持たせた設計をすることがあります。
IV線の定格電圧は600Vで、一般的に低圧用と呼ばれています。
これは絶縁体が耐えられる電圧の上限のことで、電流とは無関係です。(電流は導体の太さで決まります)
日本の電気設備は、次のように定義されています。
IV線は低圧用の標準電線として設計されているため、定格電圧が600Vとなっています。
IV線の許容電流は次のとおりです。
【IV線の許容電流(単線)】
【IV線の許容電流(より線)】
※周囲温度30℃・導体最高温度60℃・気中・日射なし・同一管内3本以下
上記の値は参考値で、電線メーカーにより若干の違いがあります。
許容電流値は、電線を布設する環境によって大きく異なります。
それぞれの環境に応じて、以下の係数(参考値)を乗算してください。
【布設方法による補正】
【温度による補正】
【条数による補正】
【計算例】
例えば、IV2mm² を40℃の環境、電線管内、管内に同じ線を6本入れた場合。
27(A)× 0.87 × 0.8 × 0.8 ≒ 15.03(A)
放熱環境が悪くなるほど許容電流は少なくなります。
IV線は導体と絶縁体からなるベーシックな構造ですが、絶縁体の構造や材質を変えることでさまざまな用途に派生しています。
ここではIV線とそのほかの電線・ケーブルとの違いについて解説します。
【IV線とほかの電線・ケーブルの違い】
IV線とHIV線との違いは耐熱性能です。
IV線に使用される絶縁体の許容温度は60℃ですが、HIV線の絶縁体許容温度は75℃あります。
これは絶縁体に含まれる成分の違いで、HIVは耐熱性を有したビニルでできているためです。(H = Heat resistant(耐熱) )
耐熱温度が高いため許容電流も高く、より大きな電流を流すことができますが、値段が高いというデメリットがあるため、普段使いではIV線を選ぶことが多いです。
【比較表】
IV線とVVFケーブルとの違いはシースの有無です。
VVFは「ビニル絶縁ビニルシースケーブル」と呼ばれ、 導体、絶縁体、シースという構造になっています。
シースがあるため、外部のダメージに強く露出配線が可能です。また、線が2〜3本まとまっていることから整線の手間が不要で、コンセントや電灯の配線で広く使われています。
VVFケーブルはサイズが1.6mm〜2.6mmの単線のみで、宅内の配線工事に特化したケーブルです。
IV線とVCTケーブルとの違いはシースの有無や構造の違いです。
VCTは「ビニルキャブタイヤケーブル(Vinyl Cabtyre Cable) 」と呼ばれ、 導体、絶縁体、シースという構造になっています。
VCTはシースが厚めなので耐久性・耐衝撃性が高く、屋内外の露出配線が可能です。
導体がより線になっていて取り回しがきくため、機械へ直接つなぐ電源ケーブルや延長コード・工事現場の仮設配線などで利用されます。
IV線とCVケーブルとの違いは構造や絶縁材の違いにあります。
CVは「架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル」と呼ばれ、導体、絶縁体、介在、テープ、シースという強固な構造になっています。
シースの耐熱性が高く(90℃クラス)、耐候性に優れるため、露出配線や埋設配線が可能です。
ケーブルは硬くて取り回しがしづらいため、主に幹線や大電力用として利用されています。
IV線のメリット・デメリットはそれぞれ次のとおりです。
【メリット】
【デメリット】
IV線は名前のとおり、ケーブルではなく”線”です。
電線管や配電盤など、守るものがあって初めて使える電線です。
IV線の被覆の色にはそれぞれ一定のルールがあり、一般的には次のような認識で使われます。
特にアース線(緑)と中性線(白)は電気の分野では原則として用いられます。
回転機の色(赤:R相、白:S相、青:T相)も、設備の業界では常識となっています。
実際に、電線の選定でやりがちなミスは次のとおりです。
これらを押さえるだけで、大半のミスは防げます。
IV線は外装(シース)がないため、管内や盤内など人の手が触れない場所に布設するのが基本です。
ですが「シースがない=細い」ため、狭い空間での配線に向いているという側面があります。
特徴を押さえて、適切な設計をしてください。
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この記事の許容電流一覧を参考に、サイズや心数を確認した上でご注文ください。
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