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単線とは1本の導体で作られた電線で「針金」のようなもの。対してより線(撚り線)は、複数の細い導体をより合わせて作られた電線で「ロープ」のような構造をしています。
単線は硬くて固定配線に向き、より線は柔らかく可動部の配線に向く、というのが基本的な違いです。
本記事では、そんな単線とより線の違いを電気的・物理的な観点から解説し、代表的な用途やサイズ表記の違い・換算方法など、選定にそのまま使える知識を経験者の視点でまとめます。
記事を読み進めていただければ、両者の違いをしっかり理解でき、施工や設計でのミスを減らすことができます。
単線とより線は、導体の作り方が根本的に異なります。ここでは身近なIV電線(600Vビニル絶縁電線)を例に、それぞれの構造と特徴を確認しましょう。
単線とは、1本の金属導体(主に銅)だけで構成された電線です。断面はシンプルな円形で針金のように硬く、まっすぐな形状を保ちやすいのが特徴です。
(単線のイメージ)
IV電線では1.6mmや2.0mmといった直径の単線が代表的で、構造が単純で導体が密に詰まっており、同じ導体外径なら単線のほうが電気抵抗は小さめです。
端末処理もしやすく、端子台やねじ止め端子へまっすぐ差し込めるため、固定盤内の配線でも扱いやすいのがメリットです。
より線とは、細い素線(そせん)を複数本より合わせて1本の導体にした電線です。ロープのように柔軟で曲げやすく、太い断面積の電線でも取り回しがしやすくなります。
(より線のイメージ)
同じ断面積なら単線よりもしなやかなため、カーブのある配管や太径の配線で使用されます。
そのぶん端末では素線がばらけやすいので、圧着端子や棒端子(フェルール)を使ってまとめるのが一般的です。
より線は素線の本数(7本・19本・37本など)が多いほど柔軟性が高まります。
一般的な制御用や屋内配線用は7本、断面積が大きくなるほど19本・37本と素線数が増える傾向にあります。
同じ断面積でも、素線が細く本数が多いほどしなやかになるため、配線の取り回しやすさを重視する場合は素線数にも注目しましょう。
用途に応じて仕様を決めていくのが、電線を選定するコツです。
単線とより線は、同じ断面積でも電気的な振る舞いに差が出ます。
ここでは直流抵抗・高周波特性・ノイズ耐性の3点から両者を比較します。
同じ導体外径の場合、直流抵抗はより線のほうがわずかに大きくなります。これは素線と素線の間に隙間が生じ、実効的な導体断面積が単線より少し小さくなるためです。
ただし実用上の差はごく小さく、規格で定められた許容電流の範囲で使えば問題になることはほとんどありません。
電線メーカーのカタログにも導体抵抗の規格値が記載されているので、長距離配線で電圧降下が気になる場合は、その値で確認するのが確実です。
高周波の電流は導体の表面付近に集中する「表皮効果」が発生します。
単線は1本の太い導体のため中心部が有効に使われにくいのに対し、より線は細い素線の表面積の合計が大きく、条件によっては高周波での伝導特性が有利になる場合があります。
とはいえ商用周波数(50/60Hz)の電力配線では、表皮効果はほとんど影響せず、両者の差を意識する必要はありません。
高周波を扱う通信や信号系で初めて意味を持つ違いだと理解しておけば十分です。
ノイズ耐性は単線・より線で大きく変わりません。ただ、可動部ではより線のほうが断線しにくく、結果として信号品質を維持しやすくなります。
ノイズ対策を重視するなら単線かより線かよりも、上記のような対策を徹底するほうが効果的です。
実際の施工では電気特性のほかに、「曲げやすさ」「折れにくさ」といった物理的な特性も考慮されます。
ここでは単線とより線の物理的な違いについて解説します。
単線は硬く直線性が高いため、固定配線では施工が簡単です。その反面、何度も折り曲げると金属疲労が一点に集中するため、折れやすいというデメリットがあります。
壁や天井裏など、動かすことがない配線でよく使われていますが、可動部やメンテナンスで何度も曲げ直すような場面では使わないほうがよいです。
より線は細い素線が曲げの応力を分散して受け止めるため、繰り返しの屈曲に強く断線しにくいのが特徴です。
柔らかく取り回しがよいため、機器のコードや可動部の配線、太い幹線など、しなやかさが求められる箇所で使われます。
ロボットアームや扉の配線のように動き続ける部位では、屈曲寿命を高めた高屈曲・ロボットケーブルと呼ばれる専用品が選ばれることもあります。
曲がりの多い電線管では、より線のほうがスムーズに通線できます。特に太径電線になると、単線の通線作業は非常に困難です。
また、サイズが大きくなるほど単線は硬くて扱いづらくなるため、太径の幹線配線ではほぼより線が使われています。
太い単線を無理に曲げると配管内で引っかかって通線できなかったり、被覆を傷つけたりするおそれもあるため、管路の曲がりが多い現場ほどより線の採用率が高いです。
選定の基準は基本的に、「固定なら単線、動くならより線」です。
ただし実務では太さやコスト、端末処理のしやすさも判断材料になるため、複数の条件を合わせて選ぶことが大切です。
コンセント・照明・スイッチなど屋内の固定配線では単線が適しています。
住宅や事務所で多用されるVVFケーブル(平形ケーブル)の芯線は、1.6mmや2.0mmの単線が中心です。配線器具(コンセントやスイッチ)も多くが1.6mm・2.0mmの単線を差し込むだけで接続できます。
壁内や天井裏に固定したまま長期間使う配線では、形が崩れにくく端末処理もしやすい単線が扱いやすく、コスト面でも有利です。
繰り返し動作する機器のコードやロボット配線、太い幹線配線ではより線が向いています。
太い単線になると「硬すぎて曲げにくい」「差し込み端子に入らない」など、施工性のデメリットが大きくなり実用的でなくなることが多いです。
持ち運ぶ機器の電源コードや、開閉する盤の扉まわりの渡り配線など、動きを伴う場所では迷わずより線を選びましょう。
現場では「IV線は2.6mm以下が単線、5.5sq以上がより線」とおおまかに認識されることが多いですが、厳密には2.6mmを超える単線や、5.5sq未満のより線も存在します。
代表的な電線・ケーブルを「単線が主流」「より線が主流」「両方存在する」に分類すると次のようになります。
◎:ほぼその構造のみ○:両方ある△:少数派×:ほぼ存在しない
メーカーのカタログや仕様書で導体構成を必ず確認しましょう。
単線とより線は、太さの表し方が異なります。混同すると選定ミスにつながるため、しっかり押さえておきましょう。
単線は導体の直径をミリメートル(mm)で表します。1.6mm、2.0mm、2.6mmなど、数字がそのまま太さを示します。
言い方は1.6mmなら「1.6ミリ」。2.0mmなら「2ミリ」となります。
より線は、すべての素線の断面積を合計した値を「スクエア(sq)」または「mm²」で表記します。スクエア=平方という意味から「□」と表記することもまれにあり、いずれも間違いではありません。
(「2mm²」「2sq」「2□」はすべて同じ意味)
断面積の単位である「sq(スクエア)」は、現場では「スケア」や「スケ」と呼ばれることが多いです。 例えば2sqなら「2スケ」。3.5sqなら「3.5スケ」などと呼ばれます。
直径表記の単線(mm)を断面積表記のより線(mm²やsq)に置き換えると、おおよそ次のように置き換えられます。
【計算式】 断面積 = π × (直径 ÷ 2)²
なお、これはあくまで断面積ベースの目安。実際には以下の要素も絡むため、性能が完全に一致するわけではありません。
最終的にはカタログの許容電流値で確認することをおすすめします。
基本は「固定配線には単線、可動・屈曲部にはより線」と覚えておけば、選定で大きく外すことはありません。迷ったときは、その配線が「動くか・動かないか」「曲がりの多い経路を通すか」を起点に考えると、判断がぶれにくくなります。
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