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同軸ケーブルとは、信号を流す芯線を中心に、絶縁体やシールドが同心円状(同軸)に配置されたケーブルのことです。
ノイズに強い信号線で、50Ωは通信機器向け、75Ωはテレビや映像機器向けに使われるのが一般的です。
この記事では同軸ケーブルの構造や特性インピーダンスの違い、種類やJIS記号の読み方、コネクタやケーブルの選び方など、現場経験17年のエンジニアが解説します。
記事を読み進めていけば同軸ケーブルについて理解が深まり、設計や選定・施工において失敗することがなくなります。
同軸ケーブルとは、内部導体・絶縁体・外部導体(シールド)・外部被覆(ジャケット)の4層から成る、主に高周波信号用の伝送に用いられるケーブルです。
一般的な電線が信号線と戻り線の2本以上で構成されるのに対し、同軸ケーブルは外部導体(シールド)が信号の戻り経路と電磁シールドの両方を担います。
外来ノイズに強く、高い周波数の信号を効率よく運べるのが特徴です。
「同軸」という名称は、内部導体と外部導体(シールド)が同じ中心軸(同一の軸線)上に配置されていることに由来します。
断面で見ると、芯線を絶縁体とシールドが同心円状に取り囲んでおり、すべての層が一つの軸「同軸」を共有しています。この構造が特性インピーダンスを安定させ、信号の反射や損失を抑えています。
同軸ケーブルが高周波伝送に使われる理由は、ノイズの影響を受けにくいためです。
芯線の周囲が金属シールドで覆われているため、外部の電磁ノイズを遮断でき、内側の信号も金属シールドによって外に漏れにくい特徴があります。
また同軸ケーブルは構造上、芯線とシールドの距離が一定に保たれており、特性インピーダンス(50Ω・75Ω)が一定に保たれています。そのため、高周波でも電波の反射や波形の乱れが抑えられます。
同軸ケーブルは、内側から順番に「内部導体」「絶縁体」「外部導体」「外部被覆」の4層で構成されています。それぞれが信号の伝送・絶縁・シールド・保護という役割を分担しており、各層の材質や寸法が性能を大きく左右します。
ここでは同軸ケーブルの各層の働きを解説します。
内部導体とは同軸ケーブルの中心を通り、信号を伝える導体のことです。銅や銅メッキ鋼線などが使われ、単線とより線があります。
単線は損失が小さく高周波特性に優れているが硬く、一方でより線は柔軟で繰り返しの屈曲に強いという特徴があります。
固定配線には単線、可動部や引き回し(カーブ)の多い箇所にはより線が選ばれます。
絶縁体とは内部導体と外部導体の間に存在する、両者を一定の間隔に保つ層のことです。信号の漏れを防ぎ、材質と厚みによって特性インピーダンスが決まります。
材料にはポリエチレン充実形(PE)や発泡ポリエチレン、フッ素樹脂(PTFE)などが用いられ、発泡タイプは誘電損失が小さく高周波特性に優れます。
型番に含まれる記号からも、絶縁体の種類を読み取ることができます。
外部導体とは絶縁体の外側を筒状に覆う導体で、外来ノイズの遮断(シールド)と信号の戻り経路(アース・グランド)の二役を担っています。
細い銅線を網目状に編んだ「編組(へんそ)」テープを巻いた「横巻」、アルミ箔などを組み合わせた構造があり、編組とアルミ箔を重ねた二重シールドや多重シールドもあります。
シールドが不十分だと外来ノイズの混入や信号漏れが起こりやすくなるため、ノイズの多い環境や長距離配線では編組密度の高い製品や二重シールド品を選ぶとよいでしょう。
外部被覆とはもっとも外側にある保護層で、ケーブル内部を機械的な損傷や水分・紫外線から守ります。
屋内用には塩化ビニル(PVC)、屋外用には耐候性の高いポリエチレンやノンハロゲン難燃材など、設置環境に合わせた材質があります。
屋内配線や埋設ではこの被覆の耐候性・耐水性が寿命を大きく左右します。
同軸ケーブルを選ぶ上で重要なのは「特性インピーダンス」です。これは内部導体と外部導体の寸法比や絶縁体の材質で決まる電気的な特性で、50Ωと75Ωが二大規格となっています。
・75Ω:「情報をきれいに届けたい」(低損失)・50Ω:「高周波電力を扱いたい」(バランス)
両者にはこのような設計思想があります。
特性インピーダンスとは「高周波信号が伝わるときの流れにくさ」のことです。
電気の流れにくさは一般的に抵抗値で表しますが、同軸ケーブルをテスターで測ると両端はつながっていないため∞(断線)となります。
ですが、実際に高周波電流を流すとケーブル内部にはインダクタンス(L)、静電容量(C)が存在するため、信号から見ると50Ωまたは75Ωの負荷がずっと続いているように見えます。
特性インピーダンスは、中心導体径とシールド内径の比・および絶縁体の比誘電率(材質)によって値が決まります。
50Ωは低損失と耐電力性能のバランスがよいため採用されています。
このような電力を扱う通信系の機器で50Ωは採用されています。「電波を飛ばす」「電力を送る」系統は50Ωと覚えておくとよいでしょう。
75Ωは減衰が小さいため、映像・放送信号の伝送に適しています
このような映像・放送系の機器で75Ωは標準的に使われます。家庭のテレビ周りで目にする同軸ケーブルはほぼ75Ωです。
機器側とケーブル側のインピーダンスが一致していないと、接続点で信号の一部が跳ね返る「反射」が発生します。
これは水の動きに例えると分かりやすいです。例えば突然広い水路から狭い水路になると水の一部は押し返されたり、波が逆方向へ返ったり、渦が生まれたりと水流に何らかの「乱れ」が起きます。
電気信号も同じように、反射した信号は伝送効率を下げ、戻ってきた波がもとの信号と干渉してノイズやゴーストの発生など、画質・通信品質の劣化を招きます。
インピーダンスが75Ωの機器に50Ωケーブルを使うといった組み合わせは避けましょう。
同軸ケーブルは、日本のJIS規格やアメリカのMIL規格など、複数の規格に基づいて型番がつけられています。型番の読み方を覚えておくと、現物のケーブルを見ただけで太さ・絶縁体・シールド構造をおおまかに把握できます。
ここでは代表的な規格と型番の意味、特殊な同軸ケーブルの種類を整理します。
JIS規格の同軸ケーブルは「5C-FB」のように表記します。先頭の数字はケーブルサイズ区分を示す記号で、数字が大きいほど一般的に太くなります。
続く記号Cは特性インピーダンス75Ω系(同軸)を、Dは50Ω系を示します。
ハイフン以降のFは発泡ポリエチレン絶縁体、Bは二重シールドを意味し、3C-2V・4C-FB・5C-FBなどがテレビやBS/CS配線(75Ω)の定番です。
【型番の意味】
なお、衛星放送対応の場合は「S-5C-FB」。エコマテリアル対応の場合は「EM-S-5C-FB」などと、先頭に記号が付与されます。
MIL規格は「RG-58」「RG-6」のようにRGに続く番号で表され、世界的に広く流通しています。
JIS規格のように数字自体に意味がある訳ではなく、制定順に割り当てられた連番です。例えるなら電話番号のようなものです。
RG-58は50Ωの細径汎用ケーブル、RG-6は75Ωの家庭用アンテナ配線、RG-214は50Ωの大電力・高周波用といったように、番号ごとにインピーダンスや用途が決まっています。
【よく見る型番】
細かい仕様を知りたい場合は、メーカーのデータシートを確認してください。
同軸ケーブルは、用途によって最適なインピーダンスと型番が異なります。ここでは代表的な4つの分野について、標準的に使われるケーブルを解説します。
用途を意識して選ぶことで、性能を十分に引き出せます。
地上デジタル放送やBS・CS放送のアンテナ配線には、75Ωの5C-FBや4C-FBが標準的に使われています。
高い周波数のBS/CS信号は減衰しやすいため、引き回しが長い場合は太めの5C-FBを選ぶと安定して受信できます。
アマチュア無線や業務無線、各種アンテナの給電線には50Ωのケーブルを使います。
RG-58や5D-2V、低損失タイプの8D-FBなどが代表的で、送信電力やケーブル長に応じて太さを選定します。
オシロスコープやスペクトラムアナライザなどの計測・試験用途には、50ΩのRG-58やRG-223が用いられます。
測定の正確さを保つため、インピーダンス整合・位相安定性に優れたケーブルとコネクタの組み合わせが求められます。
アナログ系の防犯カメラやCATV、監視システムの映像伝送には75Ωのケーブルが使われます。
電源を重畳する一体型ケーブルなど、現場の配線を効率化する製品も多く流通しています。
同軸ケーブルの性能を生かすには、ケーブルと整合したコネクタ選びが必須です。
コネクタにも対応周波数・インピーダンス・締め付け方式の違いがあり、用途に合わせて選定します。ここでは代表的な4種類のコネクタについて解説します。
F型は家庭のテレビやBS/CS配線で標準的に使われる75Ω用コネクタです。
ねじ込み式で着脱が簡単、安価で入手しやすいのが特徴です。
BNCはひねって固定するバヨネット式(ワンタッチロック)のコネクタで、着脱が素早く確実です。
計測器や防犯カメラで広く使われ、75Ω・50Ωの両タイプがあるため、機器側に合わせて選びます。
Nコネクタはねじ込み式で堅牢性が高く、高周波・大電力に対応します。
無線基地局や屋外設備など、信頼性が求められる用途に適しています。
SMAは小型ながら高い周波数まで対応するねじ込み式コネクタで、アンテナ端子や無線モジュール、計測系で多用されます。
ここからは同軸ケーブルを選ぶ手順を5つのステップで解説します。
この順番で確認していけば、用途に合った最適なケーブルを迷わず選定できます。
まず接続する機器側の規格を確認し、同じインピーダンスのケーブルを選びます。ここがずれると反射が生じ、性能が出ません。
「まず機器の仕様書を見ること」これは同軸ケーブルに限った話ではありません。
使用周波数が高いほど信号は減衰しやすいため、減衰量の少ない低損失タイプや太いケーブルを選びます。
一概にはいえませんが、数MHz〜30MHzのHF帯では5D-2Vなどが使われることが多く、GHz帯になってくると低損失タイプが必須となります。
引き回しが長いほど損失が増えるため、長距離では太物(5C/5D以上)が有利です。短距離なら細径でも問題ありません。
【無線用途の一般的な目安】
※実際には周波数や許容損失によって異なります。
屋内であれば通常品で問題ありません。しかし、屋外や紫外線にさらされる場所、埋設には、耐候性・耐水性の高いジャケットの製品を選びます。
基地局の配線などでは、塩害・防風・温度変化まで考慮する必要があります。
ケーブルと同じインピーダンス・対応周波数のコネクタを選び、ケーブル径に適合する型番をそろえます。
特にBNCコネクタは50Ωと75Ωが混在しており、どちらでも物理的に接続できてしまうためよく確認するようにしてください。
NコネクタやSMAも大半は50Ωですが、一部75Ω品が存在します。
一般的に同軸ケーブルは、内部導体・絶縁体・外部導体・外部被覆の4層構造になっており、ノイズに強い・高周波信号を効率よく伝送できる点が特徴です。
通信機器向けの50Ω・映像機器向けの75Ωがあることや、JIS・MILの型番を理解すれば、現物を見ただけで用途や性能の見当がつくようになります。
以下の5つの視点を持って選定すれば、失敗のない設計・施工につながります。
なお、当サイトでは50Ω・75Ω、それぞれに対応した同軸ケーブルを幅広いラインナップで取りそろえております。
同軸ケーブルの購入・選定は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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